「ビジネス経営体」の経営革新に関する一考察一静岡県鉢物（花井）生産農家を対象に－

摘要

農産物価格の低下による農業収入の低下，担い手の減少及び後継者不足による「担い手不足」は，労働集約的な作物といえる花井生産に多大な影響を与えている．　 価格低下による収益性の悪化に対応するには，新品種の導入や栽培技術の改善など生産技術の対応によるもの，販売先の開拓による取引価格の増加の2つの対応が考えられる．山内大原ほ，栽培技術の革新とその効果について生産技術の分析を行い，産地発展には，1新品種の導入による高付加価値化，2栽培技術の改善による土地生産性の改善，3．施設装備への投資による労働生産性向上の3つの発展段階があることを明らかにした［7］．吉田小官辻らは，この課題を価格低下に伴う市場対応としての技術革新として捉えた．この対応には，ハウス導入，加温技術Fl品種の導入など初期投資が必要な技術対応が行われた後，直播栽培の芽だし，ロゼット防止など投資の伴わない技術対応が取られることを明らかにした［9］．