中国における地方行政組織の改革とその問題

摘要

農民の負担を削減し，「三農問題」を根本的に解決するために，中国中央政府は2006年から農業税を廃止するとともに，農村総合改革を行った．そして，2005年に都市と農村の経済、社会発展を協調させる「社会主義新農村建設」という新な農村振興政策を打ち出して，長期間にわたる低所得に悩む農民の生活水準の向上を実現することを明確にした．研究の目的は，中国で現在進行しつつある農村総合改革の課題とその解決策を明らかにすることであるが，本報告では，特に地方行政組織の改革に焦点をあてる．文献調査，現地調査，中央政府へのヒアリング調査等に基づいて，農村行政体制の問題点とその変革内容を明らかにすると共に，内モンゴル自治区での調査結果を踏まえて今後の課題について考察する．