中国内陸部都市近郊における農業生産と兼業労働の実態分析一西安市6区4県の調査を中心として一

摘要

中国は，1978年の改革開放以降，急速な経済成 長を遂げてきた.この高度経済成長の過程で，都市 でも農村でも多くの非農業就業機会が創出され，農 家余剰労働力が非農業部門に吸収され，農家の農外 就業が一般的になっている.ところが，農家の労働 行動は，農外就業を行うものの，農地を手放さない ケースが多く見られる.すなわち，戸籍制度制約の 緩和及び政府の農地徴収制度により，農業に専念す る農家が急減し，農家の多様な兼業労働や農外就業 が生じるとともに,農業生産の粗放化，非効率化及 び耕作放棄等の現象が深刻化している.その変化を 農家所得からみると，農業収入と農外収入の総収入 に占める割合が大きく変化し，1985年には農外収入が総収入の18.6%を占めるに過ぎなかつたが， 2008年には35.8%にまで増加している.