日本原産のキイチゴ属の特性とその育種について

摘要

近年、ラズベリ—やブラックベリーなどのキイチゴは、その機能性などが注目され、国内の消費量や生産量が増加している。また、その生産に力を入れ始めた地域も増えている。キイチゴの機能性として、抗酸化活性や、抗炎症作用などが報告されている。そのような活性は、果実に含まれる様々なポリフエノール類や、フエノ —ル酸などが機能していると考えられている。以前より、ジャムなどの加工品や、冷凍果実の輸入品が多く流通していたが、近年、生鮮果実の輸入量も増加しており、ス—パーなどでも生鮮キイチゴを購入できるようになつてきた。キイチゴは、現在栽培品種として栽培されているものは、ほとんど欧米で育成されたものであるが、栽培については、国内の研究も近年増加しており、栽培試験などの報告も増えている。執行ら(文献)は、日本、九州地域を中心とする西南地域に自生しているキイチゴ野生種数種について、その生態学的特性や、果実品質、機能性を検討しているので、ここに紹介したい。