郵送アンケートによる二段階二肢選択CVMのバイアス問題－初期回答効果と先晩みバイアスの検討－

摘要

CVM（Contingent Valuation Method）は，農業関連の公共事業評価にも取り入れられる等ますます重要性を増しているが，近年その調査は二段階二肢選択（Double－Bounded Dichotomous Choice；以下DBDC）方式で行われることが多い．これは，ある金額を示しそれだけの支払意志があるかを問う二肢選択（以下DC）方式の改良形で，初めに示した金額が受諾された場合はせり上げた金額を，拒否された場合はせり下げた金額を再度示し，もう一度その諾否を問うものである．単純なDC方式よりも支払意志額（WTP）を漸近的により効率的に推定できるため海外でも主流になっている方法だが1），わが国ではしばしばこの調査が郵送アンケートで行われる．このような組み合わせの調査は果たして適切なのだろうか．