経済改革後中国農業の成長と波動の経済分析

摘要

1970年代末以降，経済改革を実施した中国の農業は一時日覚まい成長を見せていたが，80年代後半以降，都市経済システムや農産物の流通、価格制度の改革が始まるにつれ，穀物，綿花などに代表される耕種農業は急速に低迷し始めた．人口が多く，開発途上にある中国にとって，農業生産低迷の問題は重大である．近年，穀物輸入増大などの原因で中国の食料問題に対する国際的な関心が高まっているが，国際市場への影響ほ別にして，国内においてもェソゲル係数が未だ50％前後の水準にあり, 耕種農業，特に食料生産の低迷は国民生活や経済全体に影響を及んでいる．中国政府はこの問題の重要性を認識し，80年代末頃から農業予算を増やすなど，農業生産の振興を因ってきた．これらの政策を評価し，将来の農政を展開するためには，いままでの農業生産の構造と農業成長を左右する要因の解明が求められている．