農業内部の資金蓄積と食糧生産－中国の食料供給と農業生産力(4)－

摘要

中国農業は、零細錯圃という東アジア地域に共通する農業構造問題を抱えると同時に、長年にわたって資金不足に悩まされてきた。 「人多、地少、底子薄」（農村人口の多さ、耕地面積の相対的少なさ、および資金蓄積の欠如）というのは、こうした農業構造の概括であり、従来から「基本国情」とも言われている。零細錯圃的土地利用構造の制約は集約的農業経営によって補うことができるが、集約農業の展開に必要な資金が農家に欠けているのである。 前回で指摘した農業への投入不足の諸問題点がその現れと思われるし、農産物生産流通においてよく見られる諸制約の多くもこの点に関係する。