SPS協定の「科学」に関する規律の解釈適用 -ホルモン牛肉紛争を中心に-

摘要

ホルモン牛肉紛争は、Ec(1)の成長促進ホルモンを投与された牛肉の輸入禁止措置をめぐつて米国と争われた紛争であり、「大西洋間の食の安全をめぐるすべての紛争の母("mother of alltransatlantic lood saiety confliclls )とまで言われたものである。その歴史は長く、1970年^に、EC域内の消費者が家畜への成長促進ホルモンの使用に対して強く関心を持つようになつたことに端を発している。これを契機として、1981年以降ECにおいて成長促進ホルモンの使用禁止が強化され、それを使用した牛肉の輸入が禁止されるようになり、最大の対EC牛肉輸出国であつた米国をはじめとする各国との貿易問題となつた。WTO発足後、米国はWTO紛争解決手続に問題を付託し(EC.ホルモン牛肉規制事件③)、WTO小委員会(パネル)及び上級委員会(上級委)はいずれもECの措置のSPS協定違反を認定したが、ECは当該措置を撤回せず、米国はWTO紛争解決機関(DSB)の承認を受けてECに対し譲許停止措置を行った。