傾斜地対応ハウスと毒液栽培システムによる夏秋トマト生産

摘要

四国の中山問傾斜地では、標高が高いことによる夏季の冷涼な気候を利用して夏秋トマト栽培が行われている。しかし、傾斜地では、一般のアーチ型パイプハウスの建設は極めて困難であり、畝ごとにプラスチックシートで簡単な被覆を行う簡易雨よけ施設によって栽培が行われている（写真1）。 簡易雨よけ栽培では、害虫の侵入が容易で降雨によって品質低下が生じ、強風の被害も受けやすいため、生産は安定していない。 また、傾斜圃場では、降雨や人の移動、作業によって、少しずつ表土が斜面下方向に落ちていく。 このため、土揚げ作業が必要であり、高齢化が進む生産者らにとって大きな負担となっている。 さらに夏秋トマト栽培を行っている地域では、30年以上栽培を続けている地域が多く、青枯病や萎ちょう病などの土壌伝染性病害が深刻となっている場合が多い。