非農業土地利用の増大に伴う農業への外部不経済発生の把握と予測

摘要

土地利用計画の中心となるゾーニングの実施は，主として二つの目的からなされる。 一つは，同種用途内における集積の利益の発揮であり。 もう一つは，異種用途間に生じる外部不経済の低減である。 これを，農地にあてはめれば，優良農地をゾーニングによって面的に確保することにより，農業内部の生産性が高まり，非農業土地利用との間の外部不経済が極力抑えられるということになる。 これまで，農地の集積による生産性の向上に関しては，農地の一定の団地的確保が移動効率や機械作業効率の上昇につながり，農業生産性の向上に結びつくことが明らかにされている。 一方，農業が他の土地利用用途から被る外部不経済に関しては，スプロール状の宅地化に伴う問題発生の把握や都市近郊での耕作放棄地の発生に伴う近隣農地への影響を指摘した研究，あるいはCVM等の表明選好法により外部経済効果を定量評価した研究があるが，実際の土地利用計画に反映する際に，どの程度の土地利用の混在が問題となるかを具体的に示した研究が不足している。