都市住民の田園移住に対する意識構造に関する基礎的研究ー北海道を事例としてー

摘要

過疎化や高齢化の進展に悩む農村では，優良田園住宅の建設は，定住促進や交流の拡大，集落機能の維持など地域づくりの可能性を広げる手．段として期待されている。しかし，優良田園住宅の建設が，有効に機能するには，需要と供給の調整が必要条件となる。 都市と農村との交流に関する研究は，市民農園やグリーンツーリズムなど一時滞在型利用が中心である。 優良田園住宅については，計画プロセスに関する研究はあるが，都市住民の農村移住意識に関する詳細な研究はない。 田園移住に至る人々の心理的過程は，移住する意向の形成を経て，移住先の選定，移住行動に至ると想定される。本研究では，移住意向の形成から移住先の選定に至る過程を考察するため，農村移住希望，移住地の選好，モデル対象地の選好と，これらに関与する個人属性や相互の関連性を検討した。 調査にあたり，－般市民と，ある程度移住の意向を示した市民を比較し，相違を明らかにすることを通じ，都市住民の農村への移住に対する意識構造の把握を試みた。