地方都市部の地場産業と中山間地域の農業による農商工連携: 新潟県村上市の地酒蔵と山北地区の地域資源、酒米、湧水との関係性に着目して

摘要

地域再生法の施行（2005年）に伴い、国による地方への 支援方針が従来の画一的な支援から、地域主体の内発的 な地域活性化の支援へと転換された。とりわけ、地域内 に本社があり、かつ1次-3次産業まで完結できる総合 産業の中核的な役割を果たす地場産業は、地域內において再投資が可能な関係を構築し、地域内の経済循環に貢 献する1 > ことから、農商工連携による内発的地域活性化 策の実施主体として期待される。こうした、農村地域資 源を活用した地場産業の一つに酒造業がある。農村地域 において、酒造業は貴重な総合産業でもあり、有力な地 域活性化の担い手として期待される。さらに、地方都市 に立地する小規模な酒造業と酒米生産農家の契約栽培を 通じた密な関係構築が、酒米および地酒の高付加価値化 に結びつき、市場競争力の強化に結びついている.