中国における「社会主義新農村建設」の展開とその問題 －農民の受け皿組織としての理事会に注目して－

摘要

1990年代末に，中央政府は当時の江沢民経書記や宋鉢基首相のリーダーシップにより西部大開発戦略を構想し，第10次5カ年計画（2001～2005）の重点施策に盛り込んだ。 西部大開発は経済成長率の低い中西部を重点的に開発し，沿海部との経済格差を縮小するための政策であり，次の5点に集約できる。 第1は道路，鉄道，空港といった交通インフラや，天然ガスパイプライン，電力，通倍，水利などの社会基盤の建設，第2は砂漠化の進展や原生林の荒廃を防ぐ生態環境の保全，第3は産業の構造調整と鉱物資源を生かした産業振興，第4は科学技術と教育の発展，第5は改革、開放の強化である。