社会保障の経済波及効果に関する産業連関分析 －公共事業費の削減による基礎年金財源の確保に着目して－

摘要

少子化の進行，財政状況の悪化といった背景によって，社会保障の制度改革が進められている。 2004年度に成立した年金改革関連法では，2004年度から2009年度の期間において，基礎年金の国庫負担割合が現行の1／3から1／2へ段階的に引き上げられることとなり，新たな財源として，税制改革による増税が進められようとしている。 一方，財政問題や環境問題を背景として，公共事業のあり方が問い直されており，公共事業関連の予算額は2000年以降，毎年削減されている。 関係省庁連絡会議は『公共事業コスト構造改革プログラム』を策定し，2003年から2007年までの5年間で公共事業を段階的に15％削減する，としている。 社会保障費においては，増税論議が活発化し，公共事業費では財政削減への動きが見られる中で，同じ財政運営の中で両者の財政配分を議論することが望ましいであろう注。