EBMとは何か--EBM による医療の方法（EBM の手順）--

摘要

EBM（Evidence－based Medicine：根拠に基づいた医療）は正確には獣医学でEBVM（Evidence－based Veterinary Medicine：根拠に基づいた獣医療）といい，「臨床的判断を下すために最も新しい最良の根拠を用いること」と定義され，またEBMの実践とは自分の受け持つ患畜や農家に対して獣医療を行ううえで必要となる診断や予後，治療法，その他牛群衛生についての臨床的に重要な情報を生涯にわたり自己研鎖する過程であることは前回に述べた。 山方，EBVMではEBMに比べて，そのデータベースの規模が著しく小さく実際的な方法に至っていない現状であることも認めなければならない。 しかし，EBVMが重要で，臨床獣医療の改善や進歩のためには欠かせない方法であり，この方法を発展させ続けることの合理性は明らかである。 なぜならIT（information technology）の発展によりインターネットを通じて瞬時に数百万の論文を検索できること，臨床的判断について畜主も同じように情報を得ることができること，獣医療に必要な情報（知識の増大と医療技術の進歩）は日進月歩で常にすべてを記憶することはできないなどといった状況にあるからである。 今回はEBMを適用する手順の原則を説明する。