集団移転等による住宅の移転、再建を巡る課題

摘要

東日本大震災から約2年が経ち，各地で復興の遅れが 指摘されている。復興計画を実現するために，各自治体 では様々な課題に直面しながら，実現可能性，事業手法， 時間等を一つ一つ判断して実施設計に取り組んでいるの だが，そのような取り組みの膨大さが伝わっていないこ とが大きな理由であろう。自治体の復興計画推進支援の 立場にいる人間として，当初予想していたより大きく遅 れているという印象はないのだが,姿形が見えてこない 焦りがそう感じさせているのだと信じたい。被災直後から，新しい家を建てるまでには5年程度は かかるだろうと予想されたし,防潮堤も発災から5年で の復旧整備が目標とされている。また，防潮堤が倒壊し た地域も多く，そのような場所では，防潮堤が整備され るまでは居住するのは危険な状況である。山を削る高台 の住宅団地の造成は早く進められるのではないかという 指摘もあるが，輻輳する様々な閨係を解ぎながら進める 必要があり，単純に造成、整備できないのが現実である。