国境を越えた地域開発構想オイロレギオンの事例ーオイレギオとその農村地域開発構想ー

摘要

EU（ヨーロッパ連合。 以下EUと記述。 ）域内外の国境線の両側で，経済格差に起因する様々な問題が起きている。 地理的空間的な広がりや経済をベースとする人の流れや地域社会の形成は，行政上の国境を境とせず，国を越えて広がっている。これまでの地域政策や地域計画は，行政単位で行われてきたが，ヨーロッパのような小さな国がひしめき，複雑な国境線が存在する地域では，行政上の境界ではなく，地理的や社会的な要素に応じた地域での地域計画の方が，より実体に即した問題解決が図られる。本研究では，そのような国境を越えた地域を一つの区域として計画する手法に注目した。 EUではそのような実体を踏まえ，国境や既存の行政上の境界にとらわれない区域を単位とする地域計画オイロレギオン（ユーロリージョン）が，EUの地域政策とともにヨーロッパ各国で展開されており，行政体と地域レベルでの共同作業として，国境地域のあり方や問題の解決，住民間の交流の可能性などを模索している。 そこでは，準国家的なレベルでの協力を考え，隣り合った国々の地域計画政策の継ぎ目をすり合わせる役目も行っている。 このような計画手法から学ぶ点は多く，また，アジアでの国を越えた地域言十画をを考える場合に参考となる。