万葉集から読む明日香の心象風景

摘要

景観，風景は，独自の地域環境資源として捉えられ，むらづくり，まち並み形成やグリーンツーリズムなどによる都市，農村交流にいかされている。 農村計画的には，この地域環境資源としての景観，風景をどう捉え，どのような「あるべき」景観，風景として形成していくべきかが課題となる。 歴史性，文化性をもつ景観，風景をどう継承し，どう改変していくのか。その方向性を探るためにも，古い時代の景観，風景の構造を解明することが求められる。 本論では，「明日香村における歴史風土の保存および生活環境の整備等に関する特別措置法」（S55年）の制定により歴史的景観保全の維持が図られている奈良県明日香村を事例に，その心象風景を「万葉集」から読むことを目的とする。 すなわち，万葉集にみられる明日香の心象風景を構成する要素を分析したうえで，それら要素の関係性を明らかにしていく。