過疎、高齢化地域における環境資源量の把握と その継続的な利活用に向けた一考察:石川県珠洲巿の止水域を事例として

摘要

人間をとりまく環境中に存在する水や森林などの自然 的要素を環境資源'>と呼ぶが，人為活動によって創出さ れた農地や林地などの二次的自然も環境資源として扱わ れる。近年，持続可能な資源管理の観点から，地域や流 域単位において市民参加によるさまざまな環境資源に対 する保全や管理活動の事例が増えつつある2)。しかし， 過疎化、高齢化が進行する地域では担い手が不足してお り，環境資源の適切な保全や管理がなされていなレ、現状 にある。過疎、高齢化地域における環境資源の保全や管 理の枠組みを構想するためには，まず存在する資源量や 管理状況を正確に把握しなければならないが，実態の把 握は充分でないといえよう。そこで，高齢化率が全国市町村のうちでも40.6% >と比較的高く ，過疎市町村に 指定されている石川県珠洲巿を事例として，1)既存の 情報を用いた推定資源量の比較，2)資源の管理実態の 把握を試みた。また，過疎、高齢化の現状を踏まえた現 在の担い手の管理の意向を明らかにすることにより，環境資源の有する多面的機能が継続的に発揮されうる条件 についても考察を加えた。対象とする環境資源には，地域に散在する池や沼など 水の流れのない止水域を取り上げることとした。