気管支肺胞洗浄による競走馬の肺炎の治療

摘要

肺炎は主に細菌やウイルスの感染によって起こる呼吸器感染症で、発熱や呼吸困難などの症状を伴う病気です。肺炎に罷った馬でも、初期に適切な治療を施せば比較的短期間で完治しますが、治療が遅れると重度の肺炎や胸膜炎を起こし競走馬としての生命を絶たれることもあります。 競走馬に発生する肺炎の多くは輸送性肺炎です。 輸送性肺炎とは輸送熱の悪化に伴い肺に細菌が感染して起こる肺炎のことを言います。 通常、輸送熱に罷っても、補液などの適切な治療を施せば速やかに快復しますが、極度のストレスを受け体力や免疫力が低下した場合、輸送熱がこじれて肺炎を誘発してしまいます（図1、2）