脂溶性ビタミン過剰が 原因と疑われた牛異常産

摘要

ビタミンは健康維持に不可欠である，特にビタミンA， D， Eを含む脂溶性ビタミンはその抗酸化作用から繁殖機 能，免疫機能などに大きく関与しており，分娩移行期や暑 熱時には要求量が増加する。特にエネルギー代謝の高い高 泌乳牛では，不足すると繁殖成績低下，乳房炎などの疾病 増加などの悪影響をもたらすことが知られている。特に近年，乳成分中の体細胞数や細菌数の規制基準が厳 しくなつたことから，乳質改善や乳房炎対策を目的にビタ ミンA剤または脂溶性ビタミン複合剤を投与する酪農家が 増えている。その現状のなか，管内の一酪農家で異常産（先 天異常）の続発があり，検査，疫学調査の結果，原因は脂 溶性ビタミン過剰投与と推察したので，その概要を報告す る。