疾病の頻度の測定　2

摘要

前回までに，疫学指標の概念，種類，分母と分子の定義，有病率と発生率の違いなどについて解説を行った。 今回は，発病率，それ以外の疫学指標の考え方，計算方法について解説を行い，最後に練習問題を付記した。 発病率（attackrate）は発生率（incidence）の特殊な種類と考えられ，定義された集団から限られた期間内に発生した患者数の暴露人口に対する割合を表す。 発生率では，分母は対象集団の感受性動物数，時間を表すのに対し，発病率では，分母は観察開始時点の感受性動物数を用いる点が異なる。 対象とする集団の大部分が感受性動物であるような疾患では，その集団の人口をそのまま暴露人口の代用としてもよい。発病率は，流行調査など比較的短い期間で測定される疫学指標であり，食中毒の原因食品調査など，集団が同時にある病原体に暴露した場合にしばしば用いられる。