ダート馬場，合成（人工）馬場および芝馬場において計測されたサラブレッド競走馬の蹄加速度と床反力

摘要

筋骨格系損傷は競走馬の安楽死および消耗の主たる原因であり，この損傷の発生には多くの要因が関係している。、それらの要因のひとつが競馬場の馬場の表層である。しかし，馬場の表層物質と競走馬の損傷との関係に関する疫学的研究結果は矛盾が多く，一定していないし，損傷を予防できる理想的な表層物質の特性に関しては，今のところ，不明である。　競走馬業界は競馬場の馬場表層を変えることによって損傷低下の可能性があることは認めている。この3年間に，米国のいくつかの競馬場で，ダート馬場の表層が合成物質に置き換えられた。これらの合成（人工）馬場の逸話的観察では，この合成物質の導入とともに致命的損傷の頻度の低下が示唆されている。現在の合成物質の選択は主として経験上の証拠と市場要因に基づいているだけなので，競走馬用の馬場表層物質の基準を確立することが，競馬場問の均一性の確立，競走馬の走行の最適化，および損傷の危険性の最小化には必要である。