エンドファイトが産生する毒素による家畜の中毒

摘要

昨年から今年にかけていくつかの県で，牛が頭部の痙攣，後身区麻痺，起立不能などの神経症状や泌乳量の低下などの異常を示す症例がみられた。 アメリカから輸入したべレニアルライグラス（perennial ryegrass；Lolium perenne）やトールフェスク（tall fescue；Festuca arundinacea）のストローが給与されていたことおよびその臨床症状から，これらの症例の原因としてエンドファイト（endophyte）が産生する毒素による中毒が疑われた。 我々が給与ストロー中の毒素（エルゴバリンおよびロリトレムB）の分析を行ったところ，いずれの飼料からも比較的高濃度のエルゴバリンぉよびロリトレムBが検出され，これらの症例がエンドファイトが産生する毒素による中毒であるとの疑いがさらに強まった。