豚繁殖、呼吸障害症候群（PRRS）ウイルスの分離とウイルス学的性状に関する研究-要約-

摘要

豚繁殖、呼吸障害症候群（porcine reproductive and respiratory syndrome，PRRS）は，1987年におけるアメリカの発生が最初に報告され，成豚では繁殖障害，幼若豚では呼吸器症状を主徴とする疾病を引き起こす新しいウイルス感染症である。その後，北アメリカの養豚の盛んなほとんどの地域に侵入し，多くの被害を与えた。 次いでカナダに侵入し，1990年にはドイツで発生し，その後速やかに西ヨーロッパ諸国に広がり，短期間に世界各国に伝播し，養豚産業に甚大な被害をもたらした。 1993年には日本でも本症候群の原因ウイルスが確認された。 本症候群ウイルスは，マクロファージを標的細胞としており，その病態や免疫機構など不明な点が多く，科学的にも注目すべき疾病である。