草地更新時の堆肥の役割は？一草地の収量規制要因(5)—

摘要

草地の収量規制要因は草地の草 種構成割合である。悪化した草種 構成割合を良好な状態に戻すため に草地更新が行われる。そこで、 今月は「草地の収量規制要因」の 項目の最後として、草地更新時に 土壌へすき込み、混和される堆肥(乳牛のふん尿と敷料が原料）の 役割を考える。堆肥を草地にすき込み、土壌と 十分に混和できる機会は、新規造 成時か草地更新時に限られる。草 地が出来上がってしまうと、その 草地は維持管理段階に入る。この 段階になると、堆肥だけでなく、 スラリーや尿液肥、化学肥料など のいずれも草地表面に施与するしか方法がない。そのほかの方法はあっても、せいぜいスラリーを草 地に浅く注入する程度である。このことは、土壌を毎年耕起、 整地する畑や水田と事情を全く異 にする。草地への堆肥の土壌混和 がこの1回限りの作業でしかない ということをよくよく心に留めて おかなければ、堆肥の役割を過大 評価する可能性があると私は危惧 している。