牧草本来の「嗜好性」について

摘要

日常的に乳牛に給与されている乾草，サイレージに関して「嗜好性」の問題を考え，各種文献の内容を紹介する。 乾物摂取量の高い牧草を如何に調製し，あるいは購入するかが酪農経営の重要事項であるが乾物摂取量は標記3つの因（嗜好性，採食性，消化性）によつて制御される。それらの内容について先ず整理してみる。嗜好性の構成要素としてほ，「味（甘み，酸味，塩味，苦み）」，「水分含量」，「香り，臭気」，「食べ易さ（長さ，硬さ，施さ）」，「特定化学物質含有（未知なる）の多少，有無」が挙げられよう。また，「採食性」の構成要素としては，「ルーメンの発酵性状（粒濃比）」，「消化管運動，飼料滞留時間」，「ルーメン膨満度」，「採食速度」，「飼料の微粒子化速度，脆さ」，「ルーメン希釈率」，「環境（暑熱感作）」，「揮発性脂肪酸吸収速度」が，そして「消化性」の構成要素としては，「繊維消化速度」，「ルーメン微生物相」，「ルーメンアンモニア濃度」が挙げられる。