データマイニングを用いた 黒毛和種牛の人工授精後におけるhCGおよびGnRH投与による 受胎性向上効果の検証

摘要

繁殖障害牛の受胎促進に，人工授精（AI)後のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン（hCG)剤および性腺刺 激ホルモン放出ホルモン（GnRH)製剤投与が有効かを調べるため，データマイニングを行った。hCG 剤およびGnRH製剤を投与した後に，再発情または再発情徴候を発現して再診療を受けた割合（再診 療率）は，AIを3回以上実施した後に再診療を受けた宮崎県全体の割合と比較して，有意に低かった (p<0.05)oまた，ホルモン製剤の種類によって効果に違いがみられ，同一個体への薬剤投与回数別に みた再診療率は，投与1回次ではhCG剤が26.5%, GnRH製剤が52.5%であり，hCG剤力《GnRH製剤に 比較して有意に低かった（p <0.01)。これらのことから，AI後のhCG剤処置の効果が明らかとなり， 受胎率を向上させていることが示唆された。また，データマイニングは臨床獣医療において，実施し た処置の有効性を評価する方法として有用であると考えられた。