農場へのマネジメン卜システム導入とその効果

摘要

マネジメントとは直訳すると「管理」であり，マ ネジメントシステムとは「方針及び目標を定め，その目標を達成するためのシステム（ISO9000 ： 2005 -基本及び用語)」と定義されている。つまり，目 標達成のために人、組織を統合、管理することとい える。つまり，マネジメントシステムとは，農場に 限らず，あらゆる組織活動に共通の管理体系であり， 原理を理解しておけばあらゆる活動に応用可能であ る。例えば，畜産農場（酪農場）におけるマネジメン トシステムは，経営改善/乳房炎制御/繁殖成績の 向上/周産期疾患の低減といった「方針（大目標)」 を経営者が掲げ，それを実現するための具体的目標 (臨床型乳房炎の発症率5%以下，周産期疾患の発 症率4%以下など）を設定し，それを達成するため の実施計画を立案し，実行する。実施計画の策定に あたっては，獣医学、畜産学の面からのアプローチ が重要であるが，社会学的な面からのアプローチも 不可欠である。つまり，獣医学の教科書をコピーべ一 ストした ような マニュアル では 不十分で， 実施 にあたる従事者への教育、訓練や力量評価（従事者 間の技量格差をどうするか，理解不足をどう補うか など），あるいは従事者同士のコミュニケーション の規定（毎朝のミーティングによる情報の共有化，意識の統一をどう図るカゝ）など，農場という組織を 円滑に動かすための配慮がより重要になる。