アフリカツメガエルの空気中匂い分子受容器特異的蛋白質の分子性状の解析

摘要

アブリかソメガエルの嘆覚受容器は空気に接する部分と水中で水に接する部分に分かれていることが知られている。従って，水中から陸上生活への移行に伴う嗅覚受容器の発達を考える上で，アフリかソメガエルは非常に有用な動物である。私たちは，先に，アフリカツメガエルの各嗅覚受容器の持つ蛋白質を検索し，空気中匂い分子受容器に特異的な糖蛋白質（Olfactory epithelium Specific Protein；OSP）が存在することを確認した。 そこで，本研究ではOSPの機能的意義を解明する目的で空気中匂い分子受容器特異的蛋白質を分離し，アミノ酸配列の一部を決定した。 その結果，OSPは各種ほ乳類のcorticosteroid binding globulinおよびα_1－antitrypsin precursorにホモロジーを持つことがわかった。 これらの蛋白質はどちらも，肝臓で合成されるセリンプロテアーゼインヒビターファミリーに属する血清糖蛋白質である。 OSPは肝臓で合成された後，空気中匂い分子受容器に局在して機能する蛋白質である可能性が考えられる。