黄色ブドウ球菌による乳房感染の伝播に関する－酪農場における汚染状況調査

摘要

酪農場における黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus（SA）の乳房感染の経路を解明するため，診療所管内の一酪農家で8カ月に4回継続して乳汁、搾乳環境および牛舎環境のSA汚染状況を調査した。その結果，乳汁から分離された33株のSAのPFGE型は32株（97.0％）がA型であったことから，特定の菌株により感染が広がったものと推測された。 また，乳汁が直接接触する搾乳器具，乳頭口，乳房から毎回同じ型のSAが分離されたことから，搾乳器具を介してSAが伝播していることが示唆された。通路や犬から分離されたSAはそのPFGE型が乳汁から分離されたものとは一致せず，この農場でのSAによる乳房感染の伝播には関与していなかった。