乳牛の胎盤停滞と子宮小丘の形態の関連性

摘要

乳牛の胎盤停滞と子宮小丘の形態の関連性について調べた。 胎盤を正常に排泄した胎盤自然排泄例の子宮小丘は扇平で，明瞭な小高が認められたのに対し，胎盤停滞例の子宮小丘は卵円形で硬く，小宿は狭く不明瞭であった。 組織学的に胎盤自然排泄例と胎盤停滞例双方の子宮小丘に壊死および炎症像は認められなかったが，多数のマクロファージが認められた。 子宮小丘に出現するマクロファージには妊娠中期から酸性フォスファターゼ活性が発現していた。 分娩直後において，胎盤自然排泄例では多数の同酵素滴性を有するマクロファージが子宮小丘に出現したが，胎盤停滞例ではそれらのマクロファージは少なかった。 子宮小丘に出現するマクロファージは妊娠中の子宮小丘の適正な形態の保持に携るが，その会食機能が低下すると子宮小丘が変形し，胎盤停滞を発症する可能性が示唆された。