実践的系統樹推定法: 原理と特乱樹形の信頼性評価，およびソフトウエア

摘要

系統樹とは - 系統樹とは，生物の系統進化を木に見立てて表現したものである．全生物を含めた古典的な系統樹では，根は太古の始原生物を，枝は時間経過を，枝分かれは生物の種分岐を表わす．また，最上部まで伸びた枝の先端は現存の生物を，途中で切れた枝は絶滅した生物を表わしている．系統樹はもともと生物の形態を比較することによりつくられてきたが，30年ほど前から塩基.アミノ酸配列などの分子の比較から系統樹を推定する方法である，分子系統樹法の研究が盛んになってきた．生物がもつ遺伝情報であるゲノムの塩基配列は，突然変異が原因となって少しずつ変化していくため，近縁な生物間ではよく似ているが遠縁な生物間ではかなり異なるという事実にこの方法は基づいている．