果樹に生かすマーケティング

摘要

3回にわたって、果物をとりまく状況とそれに 対応するマ一ケティングの基本的な考え方を述 ベました。今回からは、果物そのものの「商品力」 を、どう作っていくかについてご説明します。商品力には、実質的なちのとイメージ的なも のがありますが、まず、実質的なものから考えま す。農産商品の存在感を高めるポイン卜は、「品 質保証」をすることです。農業側では、「安全だ から国産野菜」を共通のコ卜バとして、輸入物と の差別を図ろうとしています。でち、考えてみる と「安全」というのは技術的な面が大きいので、 やがては追いつかれることも想定されます。近 い将来には輸入ものも、それぞれの国の公的機 関が保証した安全な農産物を曰本へ輸出してく るはずです。そうなると、国家が保証した安全 な農産物が、安い価格で輸入される状況に対し て、国産商品はどう対抗するか、ということが重 要になると思います。コメなどでは、規模拡大による生産性の向上でコス卜を下げる、といった 考え方が経済界側から出されていますが、これ でいいのか、と思います。海外からの安い農産 物に、仮に、価格競争で勝った場合に、スーパー などの販売業者はいいとして、生産者の皆さん の「取り分」はほとんどありません。価格競争よ りも、「住み分け」によって、輸入ちのと国産品 がそれぞれにビジネスとしてやつていける状況 をつくることこそが重要なのです。1回目でご説明したように、果物は一日に200グラム食べて ほしいと、農水省が提唱しています。この食習慣 が確立されると、果物の消費量は80%以上も増 えるので、「住み分け」が可能になります。そこ で重要なのが、国産の果物は、「モノが違うから、 少しは高くても、納得できる」と考えてくれる消 費者を育てることです。そこで、「モノが違う」 をどこでアピールするかについてご説明します。