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摘要

気象変動の増大、担い手の高齢化、消費経済の 低迷など、果樹農業を取りまく情勢には厳しいち のがありますが、一方で今後の農業従事者数の減 少傾向は国民総人口のそれを大きく上回ると予 測され、将来的な果実需給は比較的堅調に推移す るとの見方もできます。先行きが不透明な状況の 中でかんきつ産地の持続的な発展を図ってい< には、当面の生産,出荷対策に加えて中長期的な 視点に立った産地振興の推進方策が必要と思わ れます。ここでは、前回の農林業センサスの調査 報告書を基にした考察から、足腰の強い産地作り に向けた取り組み方向について考えてみました。 既に多くの果樹産地で、後継者確保を主眼とした 軽労省力化のための生産基盤の整備（園地集積-作業受委託,区画整理,傾斜緩和,園内作業道-機械化,かんがい設備,改植更新,堆肥供給共同防除など）が進められており、最近では面的な 拡大傾向を示しています（表1,写真1)。園地基 盤整備の省力効果は、立地条件,整備内容によつ て異なりますが、概して急傾斜地の果樹園ほど大きい改善効果が得られる傾向にあり、かんきつ園 はその典型的な例と思われます。みかん栽培にお ける園内移動-収穫物運搬摘果作業-マリレチ被覆. 農薬防除,施肥管理などは、アクセス性の改善（園 内作業道-連絡道等の整備)と低樹高ィヒ(改植更新' 樹高短縮等）を図ることで、大幅な省力化軽労 化,快適化が可能となります。現在基盤整備が進 んでいるかんきつ産地は、概して平坦,緩傾斜地 形の立地条件が多ぐ、乗用型作業機の走行が困難とされる傾斜勾配15度以上の急傾斜地園ではあ まり進んでいないのが実状です。