牛乳中への抗体生産と医療、食品、化粧品への応用

摘要

母子免疫は，免疫機能が未熟な新生子が感染から免れもための重要な感染防御機構である．哺乳動物の母から子への免疫グロブリン（Ig）の移行は，胎盤を介しての移行と初乳を介する移行の2つの経路があるが，勤物種間によって同一ではない．ウシでは，胎盤を介してのIgの移行はなく，母子間のIgの移行は全面的に初乳を介して行なわれる．そこで，ウシの母子免疫の仕組みに着目し，種々の抗原で乳牛を免疫すると特異抗体が乳汁中に分泌される．1頭分の初乳から，実に1kgの免疫グロブリンを得ることができる．