葉緑体膜脂質合成に関わるマルチサブユニット型ABCトランスポーターオルガネラ間結合領域で脂質輸送に関与か？

摘要

植物葉緑休は他の生物種やオルガネラの生体膜と比べ，グリセロ糖脂質に富む．特に光合成の填であるチラコイド膜はそのおよそ9割が糖脂質である．この光合成膿に特徴的な糖脂質の合成には2つの経路がある（図1）．1つは葵緑体で合成された脂肪酸が葉緑体内でグリセロール骨格に取り込まれる篠路で，この経路で合成された脂質は炭素数16の脂肪酸をグリセロール骨格のsn－2位にもつことか知られている．このような脂肪酸組成は原核生物であるシアノバクテリア（ラン藻）の糖脂質と似ていることから，この経路を原核型経路と呼ぶ．もう1つの経絡では，葉緑体で合成された脂肪酸が一度頚緑体外に輸送され，グリセロール骨格に取り込まれた後に葉緑体に戻り糖脂質合成に用いられる．この経路で合成された脂質はsn-2位に炭素数18の脂肪酸をもち，原核塑経路に対して寅核型経路と呼ばれる．シロイヌナズナやタバコなどの植物は両経路をもつが，エンドウや単子葉植物は真核型経路のみである．