ニホンナシの自家不和合性遺伝子（S遺伝子）型の決定に有用なS遺伝子ホモ接合体の同定

摘要

‘昆十郎’ב最十郎’の個体群からS2またはS3ホモ接合体として選抜された‘312甘及び1312－6，の花粉をS遺伝子型既知の品種に交雑し，両ホモ接合体のS遺伝子型を確認した．また，ここでは1例として，これらホモ接合体を用いることにより，‘豊水’のようなS遺伝子型が未確定または未知の品種のS遺伝子型の特定を短時間に簡便に行うことができることを示した一1．‘312－9’は，S2遺伝子を有し，しかもS遺伝子型の異なる品種，‘最十郎’，二十世紀，とは交雑不和合性を示し，S逓伝子を持たない品種，‘八雲，‘清玉’，‘幸水’とは交雑和合性を示したことから，S2ホモ接合体であることが確認された．2．‘312－6’は，S3遺伝子を召し，しかもS遺伝子型の異なる品種，‘長十郎’，‘清玉’とは交雑不和合性を示し，S3遺伝子を持たない品種，‘八雲’，‘二十世紀’，‘幸水’とは交雑和合性を示したことから，S3ホモ接合体であることが確認された．3．‘豊水’ב312－6’（S_3S_3）は交雑不和合性を示すことから‘豊水，には少なくとも1つのS_3遺伝子か含まれ，‘長十郎’（S_2S_3）ב豊水’は交雑和合性を示すことから，‘豊水’に含まれるS_3遺伝子は1つのみであると考えられた．