術前導入化学療法としてCarboplatin+Paclitaxei, Bevacizumab併用 療法が奏効し完全切除可能であった非小細胞肺癌の1例

摘要

今回われわれは，術前導入化学療法としてcarboplatin (CBDCA) + paclitaxei (PTX), bevacizumab併用療法力s奏効 し，完全切除可能であった非扁平上皮非小細胞性肺癌の1例を経験したので報告する。症例は69歳，女性。検診胸部単純X 線写真で右中肺野の異常陰影を指摘され，当科紹介。胸部CTで右肺下葉S6に21mm大の結節影を認め，さらに同一肺葉 内孤立性肺転移と37mm大の気管分岐部リンパ節腫大を認めた。肺腺癌cT3bulkyN2M0, Stage MAと判断し，術前導入化 学療法としてCBDCA+PTX, bevacizumab併用療法を2コース施行。同一肺葉内転移の消失，気管分岐部リンパ節の縮小 を得たため，右下葉切除術，併せて2群リンパ節郭清を行い，完全切除することができた。手術時の気管支断端瘻予防のェ 夫として，肋間筋弁による補強を行い良好な結果を得た。最終病理結果として，明らかなリンパ節転移はなく pTlaNOMO, Stage IAの報告であった。局所進行肺癌に対する外科治療の成績は決して良好ではないため，種々の集学的治療による予 後向上の試みがなされている。CBDCA+PTX, bevacizumab併用療法は，奏効率上昇の観点から術前導入化学療法として 有用かもしれない。