原発巣切除と全身化学療法が著効した腹膜播種進行結腸癌の1例

摘要

症例は62歳，男性。2010年6月，ィレウス上行結腸癌·腹膜播種に対し右半結腸切除+横行結腸人工肛門造設を施行 (pSE, PN3H0P3MQ, fStage IV, R2)。遺残病変に対し術後1か月よりSOX療法を開始。SOX療法4コース施行後のCTで腹 膜播種巣は画像上消失し，人工肛門閉鎖術を施行。術中検索でも腹膜播種を認めなかった。人工肛門閉鎖術後は，患者の希望 もあり化学療法をせずにフォローアップ中で，2012年6月現在，腹膜播種の再燃兆候を認めていない。本症例は原発巣切除 術後早期に短期間の全身化学療法を行い，良好な腹膜播種のコントロールを得られた。その結果，人工肛門の閉鎖および全身 化学療法の長期離脱が可能となり，患者の高いQOLを長期間保てている。切除不能腹膜播種を伴った大腸癌に対して減量手 術を行う際，原発巣切除を含んだ縮小手術により重篤な合併症を起こさず，かっ術後早期にスムーズな化学療法を導入するこ と力腹膜播種の良好なコントロールにつながり得ると思われる。