S-1カプセルを服用中の胃癌患者を対象としたS-1顆粒製剤の評価一服薬アンケート調査一

摘要

がん患者のライフスタイルに沿った多様なニーズに応えるためにS-1ズテガフール.ギメラシル·ォテラシルカリウム）配合顆粒剤が開発された。新剤型の追加により患者の選択肢は広がつたと考えられるが，S-1配合顆粒剤の認知度はいまだ低く，どのような患者に適応するのがよいか不明である。そこで今回，患者の嗜好や適応患者を調査する目的で，S-1カプセル服用中の胃癌患者を対象としてアンケート調査を実施した。その結果，S-1カプセル服用中の患者による調査であつたにもかかわらず,21.3% (13例/61例）が「顆粒剤がよい」と回答し，その全例が「服用時，のどの違和感がない」ことを理由にあげた。また，顆粒剤についての総合評価に関しては，全例を対象とした場合で31.1%,カプセル剤服用時に少しでも「のどの違和感」を感じた症例を対象とした場合で47%の患者が「非常によい」または「よい」と回答したことから， カプセル剤で治療している患者のなかにも顆粒剤による治療を望む患者が存在すると考えられた。今回のアンケート結果を受けて，患者の服薬ァドヒアランス向上に貢献できるよう，剤型についての説明も含めた情報提供が求められている。