I,子宮頸癌2.子宮頸部腺癌の治療戦略と化学療法の役割

摘要

近年，子宮頸癌のなかで非扁平上皮癌の占める割合が増加し，最近の統計では腺癌や腺扁平上皮癌などの非扁平上皮癌が約20?25%を占めている。子宮頸部腺癌は扁平上皮癌と異なり，主病巣が頸管内に存在することが多く，また個々の細胞異型に乏しいため，細胞診の正診率に劣る。特徴的なコルボスコピー所見に乏しいことも相まって，初期での発見がより困難とされている。初期子宮頸部腺癌の生存率は扁平上皮癌と大差ないが， 進行期が進むにつれてその予後は急激に悪化し，特にリンパ節転移陽性例の予後は極めて不良である。子宮頸部腺癌は扁平上皮癌よりも早期にリンパ行性や血行性の転移を生じやすいが，その放射線感受性は扁平上皮癌と比較して低く，術後療法や進行·再発例の治療としての化学療法の意義はより重要と考えられる。