平成10年度: 果樹関係の修士論文，卒業論文の概要

摘要

根城制限（75L／樹）した3年生の‘白鳳’（共台，主幹形）を供試し，発芽期から160ppm （H），80ppm （M），40ppm （L）のチッ素を含む総合液肥を与え，硬核期から各液肥濃度を半分とした。果実の収穫期は液肥濃度が高い区はど遅れ，果実はL区で小さかった。 H区ではTS岳が低く，満足酸，全ポリフェノールが高かった。 糖の主成分であるシェークロースはM区で最も高く，グルコースとフルクトースはL区で高かった。 リンゴ酸はH区で高く，M区で低かった。 香気成分のgamma－hexalactone とgamma－decalactoneはM区で最も高かった。 H区ではこれらのlactoneが少なく，aldehyde，alcohl類が多かった。 主要アミノ酸はASN，SER，THR，ARG，ASP，ALAなどで，H区ではいずれも最も高く，L区で低かった。 各区の果汁からアミノ酸を除き，これに各アミノ酸を果汁中の濃度で添加して食味を比較した結果，H区ではTHR，ARG，ASNが苦みを強め，総合食味を低下させており，M区とH区ではSER，ASN，ARGが甘みを増し，酸味を弱め，旨みを高めていた。 H区はモモの香りであるlactone類が少なく，t－2－hexanalが多いため，香りも悪い。 L区とM区では糖，酸は大差ないが，M区はASNとARGが適量含まれるため，旨みが強く，総合食味が最も優れた。