ナシ果肉障害の原因とその対策について

摘要

昨年は6～7月の高温乾燥，8月下旬からの雨の影響を受け，生育後半に急激な果実肥大となり，成熟果がやや軟らかくなった一方で，果実内部に「ミツ症」，「煮え果」，「果肉崩壊症」などの果実障害果が発生しました。そこで，今回はナシの果肉障害についてまとめてみました。『ミツ症』は『水ナシ』とも呼ばれ，果肉が水没状になり褐変する障害です。「豊水」，「新高」，「二十世紀」などの品種に発生が多く見られます。5～6月に高温乾燥となって養分の吸収が劣り，7～8月に低温多雨となって老化ホルモンであるエチレンの生成を促進させ，果肉が発熱した年に発生が多くなります。成熟前に果肉細胞の一部が壊死して発生すると思われますが，はっきりした原因はわかっておりません。症状を軽減する方法としてカルシウム材の菓面散布等を行う方法があります。成熟果は日持ちが劣りますので，適期収穫に努めることが重要です。