ダパオ市におけるバジャウの不平等化－主観的評価による社会的地位の序列に関する分析

摘要

本稿の課題は，フィリピンのダバオ市におけるバジャウ(Badjao)内部における主観的な社会的地位の序列に関する分析を行い，現地の政府当局やNGOなど援助主体からしばしば一様に最貧困層と考えられがちな彼らの内部に，実際には都市経済への多様な適応状態が存在し，結果として不平等化が進んでいることを明らかにすることである。 具体的には，社会学的アプローチを援用しながら，不平等の存在を社会的地位の序列の存在と読み替えて，それに関するバジャウ住民の主観的評価に関する実態調査の結果を分析することによって，そうした社会的地位の序列の上下がどのような指標に基づいて認識されているのか探りたい。