日本新産のヒメッリガネゴケ

摘要

著者の一人高橋は2009年9月14日，北海道沙流郡平取町の二風谷ダムで小形のコケを採集し た.このコケは，治水目的によるダムの水位低下 によって生じた陸地に発達したタチヤナギーサン力 クイ群落の中に散在する裸地に生育していた（図1A).ヒロクチゴケゃコハタケゴケなどのコケ植物 ゃミゾハコべやアメリカァゼナなどの種子植物が同 様な環境に見られた.ヒヨウタンゴケ科の二セッリ ガネコケPhyscomitrella readeri (Mull. Hal.) I. G. Stone & G. A. M. Scott.に似るが，葉の中肋の長 さが異なるということで樋口に同定を依頼した.そ の結果，本種が国内では未記録のヒメッリガネゴケ Pnvscomitrella patens (Heaw.) Bruch & ^chimp. であることを確認したので報告する.なお，ヒメッリ ガネゴケはイギリスで採取された株をもとに，モデ ル生物の一つとして当該分野の研究に利用されてい る.