果実の成熟、品質の制御 一生理活性物質による着色の促進（ブドウ）－

摘要

ブドウの果皮色は大きく黒色，赤色，黄緑色の3つに分類することができる。 このうち黒色ブドウと赤色ブドウの着色程度は，アントシアニン色素の含量と組成により決定される。 黄緑色のブドウでは着色程度がそれほど問題とならないが，黒色や赤色のブドウの着色程度は糖度や酸などの食味形質と同様にブドウの市場価格を左右する重要な要因である。そのため生産者は単価を向上させるため，外観の優れたブドウを生産することに重点を置いている。 それぞれの品種には最も特徴的で望ましいとされる果皮色があり，収穫期にその色が出ていないと高値は望めない。 例えば代表的な黒色ブドウ品種の‘巨峰’は，十分に着色しないまま収穫期を迎えた場合に果皮が赤味を帯びた状態となるが，これは「赤熱れ果」と呼ばれる。 赋酂幛旃工铣嗌芝丧Δ趣筏茠Qわれることはなく，着色不良と認識され，商品価値が低くなる。 したがって品種特有の果皮色を出すことは，果実の市場価値を高める上でも重要である。