文献にみる補償の精神(89)「七十五万人県民のためとして調印を承諾されたのである」（笹生川ダム、雲川ダム、福井県）

摘要

福井県内を流れる九頭竜川は、岐阜県境の油坂 峠にその源を発し、真名川、日野川、足羽川など145河川を合流し、日本海に注ぐ。その流域面積 は2，930knf、幹川流路延長116kmである。真名川は 九頭竜川の重要な支流の一つで、大野市南部の越 美山地の北面の水を集め、上流端は大野市西谷上 秋生で、小沢川、雲川、堂動川、内川、清滝川な どを併合し、大野盆地を流れ下り、大野巿土布子 において九頭竜〗11に合流する流路延長45. 5kmの河 川である。笹生IHと雲川の合流地点から下流が真 名川と呼ばれている。福井県は昭和20年7月の福井大空襲、昭和23年 6月の福井大地震、そして同年7月の九頭竜川の 大水害と短い間に三度の壊滅的な被害を受けた。 これらの被害からの復興のためにも、治水、利水を目的とした真名川総合開発は必然性を持ってい たといえる。