アポミクシス性特異的遺伝子の機能解析一ASG-1組換えイネで現れた結実しない形質 の解析一

摘要

アポミクシスは母親の遺伝子型だけが子の世 代に伝わる生殖様式である.この形質を実用 化すれば，一代雑種の固定による種子生産の コストダウン,育種途中の有望な中間母本の 固定による育種年限の大幅な短縮,さらに栄 養繁殖性植物から種子繁殖性植物への転換が 可能となるなど，「緑の革命」以上の経済効果 が期待されている.著者らはイネ科暖地型牧 草である条件的アポミクシス性と有性生殖性 ギニァグラスを用いてアポミクシスの生殖様式を細胞学的に明らかにしたうえ，子房長を指標としてDifferential screening法によりァ ポミクシス性特異的遺伝子ASG-1のクロ一 ニングに成功したのち（陳ら,1999)，その機能 解析を進めている.本研究では，同じイネ科植 物のイネにASG-1を導入して作出した組換 えイネの形質を調査したところ,0%の結実率 の株が一部出現し，しかも何回出穂させても 結実率が変わらなかったことについて,それ らの形質を調査してASG-1由来のギニァグ ラスとの比較調査も行い，その原因究明を 行った.