パンコムギにおける花器官形成クラスBMADS-box遺伝子の同祖遺伝子間発現変異はェ ピジエネティック制御による

摘要

高等植物の花器官は、外側からがく片、花 弁、雄ずい、雌ずいで構成されており、これらの器官のidentityは、5つのクラスA、 B、 C、D、 Eに分類されるMADS-box転写因子遺 伝子群の働き合いによって決定される。パン コムギ(JYiticum aestivum)は異質6倍体（ゲノ ム構成：AABBDD)で、花器官形成のMADS-box 遺伝子も各ゲノムに3つの同祖遺伝子と して存在する。これまでの研究から、クラス B遺伝子Wheat PISTILLATA 2 (『尸")では、A ゲノムとDゲノム遺伝子は発現している力、 Bゲノム遺伝子は発現が抑制されていること が明らかとなった。また、クラスC遺伝子 Wheat AGAMOUS I (ぬG/)では、Aゲノムと Bゲノムは発現しており、クラスD遺伝子 Wheat SEEDSTICK ( WSTK)では、Bゲノムのみ が発現している(Tanaka et al., 2015) 。クラス B遺伝子WP12において、発現しているAゲ ノム遺伝子が欠失している染色体欠失系統で は、発現が抑制されていたBゲノム遺伝子の 発現が上昇し、その発現上昇がェピジェネ ティックに制御されていることを明らかにし た(桑原ら育種学研究18(別1),2016)o今回、 正常系統におけるWPI2-Bの発現抑制自体が ェピジエネティックに制御されていることを 明らかにした。